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"「先送り」というのはひとつのアイディアである。
これについてはかつて春日武彦先生から含蓄のあるお話しをうかがったことがある。
精神科に通ってくる患者の中にはしばしば家族関係のしがらみで「どうにも身動きならない」という窮状にあるものがいる。
あちらを立てればこちらが立たずという状況である。
そういうときには「先送り」するという手が有効だと春日先生はおっしゃっていた。
先送りにしているうちに、原因となっていた家族の誰かが死んだり、入院したりすることがあるからね。
家族からその人が「消える」と「しがらみ」はするするとほどけてしまう。
すると、精神科医の出番もなくなる。
「手を拱いているだけでよいのか」と憤る人がいるが、「手を拱いているだけで、何とかなってしまった」ということは人生には実はよくあるのである。
いや、ほんとに。"